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この人の勘の良さは侮れない。
社長秘書として、とても優秀な人として後輩ではあるけれど、尊敬している。
その優秀さも、先読みできるその鋭い感性があるからだ。
「別に何もないよ。何かある?」
「ま、綺麗なのはいつものことだしね。あ、企画の資料、上がっていて承認降りていると聞いているので、それをください。」
「はい。」
にこっと笑い、上総は凛に頼まれた資料を用意し、手渡す。
上総は気づいていないけれど、恋をしている女性はどんどん綺麗になるものだ。
それが、いい恋ならば尚更。
水槽に光が当たり、キラキラと光って、それが少し離れたところから見ると、星空のように見える。
「すっごい…、すごく、綺麗…。」
「うん。綺麗だな。」
尚人と千尋は、ナイトアクアリウムをやっている、というその水族館にいた。
映像ショーはその光に音楽が重なって、さらに幻想的でロマンチックだ。
「宮原。」
そう、宮原に声をかけてきたのは、片手にパソコンを持った、類い稀な、とでも表現したくなるほどの美形。
少し長めの髪を綺麗にカットしており、すらっとしていて、中性的な顔立ち。
はっとするくらい色が白く、緩やかに首を傾げるその仕草は、見惚れそうになるくらいだ。
現に、周りから相当注目され、熱い視線を浴びている。
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