4051人が本棚に入れています
本棚に追加
「片瀬。あ、千尋、紹介する。友人の片瀬波瑠。映像をここに提供した奴。片瀬、この人は俺の…同僚で、彼女の上総千尋。」
相変わらず、表情を一切変えず、淡々と紹介する。
むしろ、千尋の方が動揺してしまったくらいだ。
彼女って、…そうなんだけど、尚人、堂々と紹介するのね。
紹介された片瀬にも、全く動揺は見えない。
…この人達って…。
片瀬は、千尋ににっこり笑顔を向けた。
「上総さん…。」
「はい。」
「天文学って興味あります?」
えーっと、質問の意図がよく分からないのだけれど…。
「山、降りてきてんの、珍しいな。」
宮原は慣れているのか、その突飛な片瀬の質問を無視し、淡々と話を続ける。
「山を降りるって、UMAみたいに言わないでよ。たまにはね。映像に不具合が出たと言うので確認しにきたんだよ。ショーの時間に間に合ってよかったよ。宮原もたまには山においで。綺麗な彼女と一緒に。」
くすくす、笑いながらそんなことを言う、片瀬だ。
「そうだな。また、連絡する。」
「うん。待ってる。上総さんもね。」
片瀬の笑顔に、周りから密かなため息が漏れている。
じゃあね、と熱い視線を浴びつつ、片瀬は立ち去った。
「すごい吸引力のある人よね…。」
「無自覚なんだ。」
「尚人…。」
「ん?」
「UMAって…なに…?」
「そこかよ。」
最初のコメントを投稿しよう!