4049人が本棚に入れています
本棚に追加
ナイトアクアリウムを堪能した二人は、尚人に誘われ、いつかの夜景の見えるバーに向かう。
「これも綺麗だけど、今日の映像も綺麗だったね。」
「そうだな。けど、実際の星空も綺麗なんだ。」
そうだ。
そう言えば、片瀬は映像を提供した、と言っていた。いろいろ気になることを言っていたのだ。
「片瀬さんって何者なの?山って?」
「片瀬は、高校の同級生。同じ大学。学部は違うけど。優秀な天文学の学者だよ。あれで。普段は山で天体観測しているから、滅多に山を降りてこないんだ。それでも、社交性はそこそこあるし、優秀だから、いろんなところに呼ばれてる。」
「綺麗な人だものね。」
「まあな。あいつは本当そういうところは無自覚だけどな。宇宙と星にしか興味がないんだ。」
尚人は手を挙げてウエイターを呼ぶ。グラスにはまだ半分ほど飲み物が残っていた。
「チェックを。」
「はい。」
にこやかにウエイターが離れる。
「え?まだ、残っているんじゃないの?」
「お前も無自覚?」
「え?」
尚人は表情を変えず、千尋の耳元に口を近づける。
「片瀬のことばかり聞くから、すごく妬けた。今日、部屋を抑えてあるから、覚悟しとけよ。」
だから、表情!ちょっとは変えて…っ!
最初のコメントを投稿しよう!