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5.宮原くんのひとりごと=エンディング
柔らかな朝の光の中、千尋の横顔が朝日に照らされている。
千尋は知らないが、尚人は眠っている千尋を見るのが好きだ。
いつもはキリッとしている顔が、ふわりと緩んでいて、これは自分しか知らない顔なのだと思うと、尚更可愛く思えるし、本人ですら知らないその表情を見られることに幸せな気持ちになる。
きっと、自分の表情に出にくい分、千尋には伝わっていないと思うが、尚人は千尋が思っているよりも、千尋のことが好きだと考えている。
千尋の口から、別の男の名前が出ると、妬いてしまうくらいには。
だから、昨日の夜は、すごく、すごく、千尋を苛めてしまったので、千尋はまだ暫くは起きないはずだ。
長い髪を首と肩に纏わせている。
尚人は千尋の頬にかかっている髪を、そっと指で避ける。
目を閉じていると、普段より幼く見えて。
尚人も自分の表情が緩んでいることに、気づいていない。
寝ぼけている千尋が暖を探しているようなので、布団を掛けてやり、その身体を抱きしめる。
「…ん…」
千尋は声にならない声を出して、きゅうっと、尚人に抱きついてきた。
暖かくて、柔らかい身体。
当初は身体だけの関係だと思っていた。
けれど、その気持ちに変化が起きたのはいつの頃なのだろう。
気持ちの変化に説明はつかないけれど、溶け合うようにひとつになった時に離したくないと思ったことは間違いない。
昨夜も、つい嫉妬にかられて、たくさん、してしまったけれど、最後には絡み合う視線や、その甘い声にこちらが夢中になってしまった。
きゅうっと、抱きついてくるその身体が愛しくて、抱いたままそっと額にキスを落とす。
ぬくぬくとして、尚人の瞼が少し重くなる。
今日は休みだし…も、ちょっとだけ…いいか…。
この時間が止まればいい、とも、この時間がもっと、続けばいい、とも思う。
尚人はもう少しだけ、この時間に浸ることにしたのだった。
✽+†+✽―END―✽+†+✽
※次Pにイメージイラストがあります。
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