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先ほどまで、ちょっと軽くて、子供のように無邪気でそれでいて綺麗な人、と美空は思っていたけど、それだけの人物ではなかったわけである。
「夢は叶ったの?」
美空が聞くと、彼は先ほどと変わらない態度で、
「まだまだだよ!」と笑った。
そうして、美空が帰る時、
「美空ちゃん、待って!」と声が聞こえる。
片瀬が美空を追ってきたのだった。
車に乗りかけていた美空は車から降りる。
「どうしたの?」
彼は美空ににこっと笑うと、首にかけていたネックレスを外した。
「君にあげる。」
「ありがとう。」
そうして首にかけてくれたそのネックレスのトップは、黒い石の中にキラキラと輝く何かが光っていて、とても綺麗だった。
「綺麗……。」
「それ、星のかけら、と呼ばれているんだ。美空ちゃん、君の名前の字の書き方を教えてくれる?」
「美しい空、と書くのよ。」
「美しい空、か。今度クッキー持ってきて。楽しみに待ってる。」
「300年はかからないと思うわ。」
美空がそう言うと、ふふっと彼は笑って、
「星になる前に食べさせて。」
と言ったのだった。
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