4023人が本棚に入れています
本棚に追加
指と指とが絡んで、美空の鼓動は大きくなった。
やはり片瀬の手は温かかった。
以前のように。
けれど、美空は以前とは違ってドキドキする鼓動を抑えることは出来なかった。
「片瀬先生。」
「はい。美空ちゃん、ちょっと待っていて。」
その体温が離れてしまった時、美空は少し淋しく思う。
離れたくないって、おかしいかな?
ポン、と片瀬の手が美空の頭に触れた。
「すぐに戻るから。あとで中を案内してあげる。」
「うん。」
片瀬は仕事で来ているのだから仕方ない。
美空は壁にもたれて、大水槽を見上げた。
先程は、宇宙の中にいるかのように光が当たっていたけれど、今はそれが斜めから照明が当たっているだけだ。
水槽の中では小さな魚がたくさんその身体を翻して泳いでいて、その身体に光が反射しキラキラしていた。
無数の光がキラキラと移動している。
確かにそれは星のようだ。
──すごく、綺麗……。
水槽の周りにいた人達は、このイベントの関連の人達だったようで、終わってすぐはざわざわしていたけれど、しばらくすると、みんな徐々にどこかに行ってしまった。
待っていて、と言われた美空は待っているしかない。
最初のコメントを投稿しよう!