2.水と星

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水槽の中はずっと見ていても見飽きない。 きっと、魚たちは私達が綺麗って思いながら見てる、なんて考えてもいないんだろうなぁ。 「美空ちゃん……」 ふわり、と後ろから抱き込まれて美空は動けなくなった。 片瀬の、思いもかけない広い胸と力強い腕を感じて、驚いたのだ。 「どうだった?」 「あ……、すごく綺麗、だった。」 「うん。君にどうしても見せたかった。だから、ここでの話を引き受けたんだ。ずっと君のこと、考えてたよ。星を見ていても、時折君に見せたいなぁって思ったりしていた。」 「私に?」 もう誰もいないのに、耳元で密やかに話す片瀬に美空はとても、とてもドキドキする。 「そう。君はなんて言うかなぁって。こんな、大人になって、綺麗になって、僕の前に現れるなんて、ずるいよ。」 「波瑠さんだって、そんな男の人みたいなの、ずるい。」 後ろの方から、くすくすと笑い声が聞こえる。 「僕はずっと男だよ。」 「そうだけど……」 「僕のことなんて、もう忘れてしまっている、と思っていたのに。」 「忘れる……わけなんてない。」 先程の片瀬の言葉を繰り返すと、腕の力が少し強くなる。 どうして、こんな風に抱きしめるんだろう。 「美空ちゃん……」 どうして、そんな風に甘い声で名前を呼ぶの?
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