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「波瑠……さん?」
「彼氏とか出来たらどうしようって、思ってた。」
「だから、いません!ってば!……こんなこと、大声で言うことじゃないけど……」
「うん。メールで教えてくれて、ガッツポーズしちゃったよ。」
「もう、なにそれ。」
美空はくすくす笑う。
相変わらず子供みたいな人だ。
「だから、次に会ったら言おうって思ってた。僕が立候補してもいい?ただ、君の同級生とかみたいに、側にいてあげることは出来ない。それが無理なら……」
「諦めるの?」
「……うん。本当は側にいてあげたいけれど。」
知っている。
分かっている。
この人には大事なものがある。
それでも、その大事なものをそのキラキラとした瞳で追っている、子供のような姿が美空は好きなのだ。
美空は、くるりと後ろを振り返った。
波瑠と真っ直ぐ向き合う形になる。
柔らかく微笑んでいる波瑠は、相変わらず現実味がないみたいに綺麗。
「私、落ち着いていて、大人っぽいってよく言われるの。」
「そうだね。美空ちゃんは中学の頃からそうだった。」
「だから、ちょうどいいと思うわ。」
「ちょうど?」
「そう。波瑠さんは夢を追っていて。私はそんな波瑠さんといるから。」
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