3.春に花咲く恋

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まして天文学は未知を扱う世界なので、想像を超えたことが起こることもある。 それを常識に当てはめず、どれだけ柔軟に考えることができるか、が問われる世界でもあるのだ。 どんなことも起こりうる。 その未知数の中では。 そう思っていないと、探求などできない。 だから、ではないけれど……。本来なら年の差があるはずの彼女だけれど、その年の差を感じなかった。 そして、話していて心地よかった。 型にはまっているわけでもなく、突飛すぎるわけでもなく。 柔軟で、それでいて素直。 きっと、もう二度と会うことはないと思っていた。 それでも、もしも……もしも出会うことができたら、あの時は楽しかったということくらいは言ってもいいだろう?と考えていたのだ。 ……のはずなのに、気づいたら、ネックレスを渡していた。 友人が珍しい石で、片瀬に合うだろう、とわざわざ加工してくれたものだったのに。 名前を知りたい。そう思って別れる間際、彼女の名前を聞いた。 「美しい空、と書くのよ。」 そう言ってにこっと笑った彼女に願いを込めて、ネックレスをかけた。 この美しい空に、また逢えたらいい。 特に代わり映えしない日々の中、SNSを通じて、連絡があった時は驚いた。 「また、逢えたな。」 メールの向こうにいる、美しい空の名前を持つ彼女に、片瀬はそう声をかけた。
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