ガラスの靴を履いたら

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どうして今までそれを思いつかなかったのか分からない。 そうして、検索をしたら、写真付きの記事が出てきたのだ。 読んでみると、経済誌で特集を組んだ時のもののようだ。 プロの手で、きれいに撮られた写真は間違えようもなく、航で、しかもラフな姿の多かった南国とは違い、そのスーツ姿にはうっとりしてしまう。 ──航さんっ!カッコイイ!間違いない!航さんだわ!! 「ねえ!この人じゃなかった?」 小春のそのキラキラとした表情に、マネージャーは驚く。 普段は、たおやかで大人しい印象の小春だからだ。 とても会いたかった人なんだな、と思い、スマホの画面を覗き込んだ。 しかし、マネージャーが見たのは、ほんの少しの後ろ姿で、似ている気はするけれど確証は得られなかった。 「小春さん、ごめんなさい。でもお花屋さんに聞いてみる、というのはいかがですか?」 そのアレンジメントには、販売店のシールが貼ってあったのだ。 「私、行って聞いてみます!」 さっさと、帰り支度をした小春は、その花屋を訪ねてみた。 そうして、先程の写真を見せたのだ。 「あ!この人でした!とっても素敵な方だったから、覚えています。演奏会に花を持っていきたいから、と、明るくて可愛くて、演奏家なんだと仰っていましたけど。たしかにあのピンクのガーベラはあなたにぴったりですね!」 男性は珍しいし、とてもイケメンだったので覚えてますよ!と店員さんは笑っていた。 航さんが来てくれた!! 航さんっ!!
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