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出逢い
新規事業としてスタートした海外事業が、思いの外好評で、是非とも他にも紹介したい、と取引先である榊原トラストから連絡があったのは、少し前のことだ。
その事業の現地確認のため、海外に飛ぶことになった、久我山航は空港のコンコースを歩いていた。
ハーフらしい整った顔立ち、ふわりとした髪と、色素が薄い肌。
亜麻色の髪に栗色の瞳の持ち主だ。
その瞳はよく見ると、濃い空色が混じっていて、そのコントラストは吸い込まれそうに美しい。
背は高くて、スラリとした彫刻のような肢体。
母が厳しかったせいで、仕草までもが洗練されている。
航はすっきりと背を伸ばし、長い足でスタスタ歩いていく。
空港の中を慣れた様子で歩き、ラウンジへと足を踏み入れた。
ラウンジ内でも一際目立つ存在なのだが、本人は衆人の注目を集めることには慣れていて、それを気にしない術も心得ている。
ラウンジに入ると、チェックインを済ませ、航は手近なソファに腰をかけた。
バッグからタブレットを出し、業務で対応しなければいけないことがないか、確認する。
その、ソファに腰をかけ、長い足を組んで、少し考える様さえ絵画のようで、モデルと見まごうほどだ。
一瞬、アテンダントがザワついてしまうのも、やむないことだろう。
「お飲み物はいかがいたしますか?」
メニューを受け取った航は、アテンダントににこりと笑う。
「温かい紅茶をください。」
その笑顔に、担当のアテンダントはご馳走様です、と心の中で合掌したものだ。
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