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民宿にも届くぐらいにパトカーや救急車のサイレンの音が響き渡る。この音を聞いて民宿の娘が玄関を開けて老婆と共に出てきた。
「ばあば、今日はよくサイレン鳴るね」
「おう、こわいこわい。ももかが出っさけ、はよ家はいろまぁ」
「ばあば、ももかって何?」
「おばけのことやんな」
民宿の娘は「おばけ」と聞いて身が震え上がり足早に家に入ろうとした。その時、玄関前に落ちているおかめのお面に気がついた。
「あれ、お部屋に飾ってあるおかめのお面があんなところに」
「また、おかめがぼう(坊)探してたんけ? 困ったもんやな。お部屋に戻しておいておくれな」
「はーい、そう言えば昨日から泊まってるおんちゃん帰りが遅いねぇ」
「今日はのたがほうらんさん(波が大きい)や、海に入ってなければええんやけどな」
この民宿の一家は知る由も無いが…… おかめのお面に魅入られた客は謎の死を遂げている。民宿の客などは一期一会の付き合いであるために知らないのも仕方ないだろう……
いつしかこの民宿のおかめのお面がある部屋にいい男が泊まると死ぬ…… と、言う噂が地元の噂になるのだった……
おわり
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