みんなの視線

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みんなの視線

 昨日、美容院で髪を切りすぎた。  街を歩けば、みんなが私を見ている気がする。疑心暗鬼すぎるけれど、そこらの犬や猫さえこっちを見ている気がしてならない。  あまり長い時間ではなかったけれど、椅子が合わなかったのか、妙に体も強張っている。  気に入らない長さの髪に痛む体質。おまけに周りから感じる視線。  ああもう全部嫌! 切りすぎた他人の髪なんか見て何が楽しいのよ! 『自意識過剰ね。みんなが見てるのはあなたじゃないわよ』  むしゃくしゃする気持ちを心の中で吐き出したら、どこからかそんな声が聞こえてきた。  今の、誰? というか、聞こえた内容が…。  私を見ている訳じゃない。でも確かに周りの視線は私に集まっている。  ふと気になり、そこらの店の窓ガラスに映る自分を見つめた。  当たり前だけれど自分以外映っていない。  安堵して息を吐く。その時、足元の影が目に入った。  肩に何かへばりついている。それが影に映っている。  切りすぎた髪まで人のせいにする気はないけど、もしかして体が痛いのは…むしゃくしゃした気持ちはいっぺんに消え失せた。  今心の中に渦巻いている感情は一つ。  怖い! 誰か助けて! みんなの視線…完
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