甦るあの日。

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 錦の反応に、一刀は只楽しげに笑う。からかったのかと、少し拗ねた様な表情を見せる錦。 「そう怒るな。本心を語っておるのだから」  まだ耳迄赤く染まったままではあるが、取り敢えず、気を落ち着ける錦。 「明日も、忙しいんだよね……一刀は」  変わった其の話題に、一刀は表情を引き締めつつも一つ溜め息を吐いた。 「まぁな……葵殿を迎えて暫くは、気は抜けぬ。お前の時と同じ様にな」 「え……?ど、どういう事……?」  首を傾げる錦。何の気なしに一刀の予定を聞いただけだったのだが、一刀の様子を見ると何やら深刻な雰囲気だ。徐に口を開く一刀。 「お前も、此の度起きた事で悟っている筈だ……東西の、皇家の血迄を取り込む深い国交を危惧する者がいると言う事、そして其れは此処東にも言える事だ……雅殿に起きたあの一件は、俺にも余所事では無い」 「うん……」  神妙な表情の一刀より語られた言葉に、錦の表情も硬くなってしまう。 「久遠と葵殿の間に生まれる子は俺達の養子となる。つまりは、時期帝位継承の第一位となるのだ……其れを知る者は僅かだが、情報は何処からどの様に漏れるか、俺でも完全に把握するのは難しい。此の流れを、止めんとする者も現れるやも知れん」  続いたのは、葵と葵の産むだろう子の行く末を案じる言葉。未来の為に、新たな命を望む者は多くいる筈。だが、望まない者もいると言うのだろうか。 「何だか、御目出度いばかりじゃ無いんだよね……」
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