5人が本棚に入れています
本棚に追加
「そもそも、自分の娘の顔を『醜い』なんて言う母親はいない。だってそれは自分の顔も『醜い』って言っているようなものだからね。遺伝子パワーを舐めたらいけない、アレ、どれだけ手を加えようと思っても常に私達の上にいるんだから」
「あ、えっと……じゃあ」
その言葉の意味は分からない――けれど。
「私は、風音の顔が大好き。例え片目が無くても、片耳が無くても、顔に傷があっても――私は、風音の顔が好きだよ」
「ッ……」
『大好き』――そんな言葉を言われたことは、今まで一度もない。
実の母でさえ、そんな言葉を私には言わなかったのだから。
お金と引き換えに、実の娘を“殺しても構わない場所”に送ったのだから。
だから……思わず私は――
「え、ちょ!? 風音、どっか痛いの!? 病院行く!?」
「いえ……大丈夫、です……」
「でも急に涙が出るなんてよっぽどのことじゃない! 今すぐに病院へ……って、チクショウ! まだ病院開いてないじゃん!」
最初のコメントを投稿しよう!