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母が私を売った場所――そこは『人体実験』を研究している施設だった。
その施設から莫大なお金を受け取った母は、私を見捨てた。
その施設――あそこは文字通り地獄だった。
毎日毎日、悲鳴を上げても止まらない痛みに耐える日々。
それが『人体実験』の――検体である私の役目だったから。
そのデータを取ることが、その施設の人間の役目だったから。
泣き叫び、延々と続くその苦しみ――けれど。
ある日、その施設で起きた大事故に、私は巻き込まれた。
爆風が大人達を包み込む中――私も包まれた。
でも“ある人”が、私を助けてくれた。
“ある人”が、私を地獄から助け出してくれた。
そして安全な場所にまで避難すると、その人は私にこう言った。
『生きたい? それとも死にたい?』
――愚問だった。
今まで散々苦しい想いをし、その度に『死にたい』と思っていた。
だから私は即座に『死にたい』――そう答える。
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