風は歌を奏で

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 あの施設での実験――その苦痛の結末がこれだ。  私は右目を失い、左耳を失い――そして、顔に二か所の縫い傷が出来ている。  ……まるでフランケンシュタインの怪物みたいだ。  こんな醜い顔、誰も見たくないだろうに。  そんな私の顔を『美人だ』と言うあの人は、一体どういう世界を見ているのだろうか。  ――私の新しい母親、風歌さん。  けれども私は風歌さんのことを全然知らない。  とても感情の変化が激しくて。  とても私のことを大事にしてくれていて。  常に私を笑わそうとしてくれる。  それが『風歌さん』という女性――それ以外のことは知らない。  何故、あの施設で死ぬはずだった私を助けたのか。  その答えを私はまだ……知らない。 「…………ッ」
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