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「か~ざ~ねッ!」
背後から風歌さんの声が聞こえたのと同時に。
後ろから現れた二つの手が私の顔をもみくちゃにする。
「なに、自分の綺麗な顔に見惚れていたの? まあ、確かに風音は美人さんだから、風音自身でも惚れるのは分からないでもないけどね。お母さんだって風音の顔に惚れているんだから。こんな美人さんが私の娘ってことに、未だに喜びを抑えきれないもの」
「それは……私の顔が“醜いから”ですか……?」
「え、誰がそう言ったの?」
「風歌さんは……口ではそう言っても、心の中じゃあ私の顔を醜いと――」
「思っていない」
「……え?」
予想外の答えに、私は驚く。
「私がいつ、どこで、風音の顔を『醜い』なんて言った?」
眼を鋭くした風歌さんは私の顔に自分の顔を近づけてきた。
それも物凄く……近い。鼻とおでこが当たっているほどに。
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