シローがユーキで、ユーキがシロー

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──シローin『ユーキ』side──  まずは状況把握からしようか、とまだ布団の上の俺は部屋を観察する。 小さな部屋で──俺の部屋ではない。 見慣れた家具もなければベッドでもない。 部屋の隅にあるトランクケースと旅行バッグも俺のではない。 今は何時だ、とまだ手にあるスマホを起こすと五時三十二分の数字が出てきた。 恰好はスエットとトレーナー。 冬と朝の寒さに身震いし、とりあえず頭から布団を被る。 カーテンの隙間の向こうはまだ暗い。 手が俺のものより少々でかい。 変に目覚めが良いのも妙だ。 昨日は残業してきてくたくたの状態で気絶したかのように眠りについた、はず。 もう一度、眠りについたスマホの真っ暗な画面を覗き込んだ。  ──俺は柳井結希(やないゆうき)、のはず。 しかし映っていたのは──橘司郎(たちばなしろう)ちゃん。 「…………はぁ!!??」  目覚めの声には不釣り合いで、朝の音量ではない事を発してから気づいた俺は遅くも口を手で覆う。
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