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「わっ、突然何を!!色仕掛けには負けませんよ!!」
「いやいや、思い切り見ているじゃないの」
「こんなこともあろうかと、視力は両目とも2.0です!!」
「聞いてないし」
鼻息まで荒くなっている高円寺団五郎に汚物に対するのと同様の視線を投げかける。しかし、高円寺団五郎はまるで同じていなかった。その視線は、太ももから一寸たりとも逸れることはない。むしろ清々しい。
「……まあいいわ。その素敵な目でよく御覧なさいな」
そう言ってさらにスカートをまくりあげる。もう少しで根元に達する、と言うところで現れたのは、太ももに止められた小型拳銃のホルスターだった。
「これで形勢逆転、てところかしら。あなた流に言えば、こんなこともあろうかと……よ」
マリーはホルスターから小さな拳銃を抜いて高円寺団五郎に向けた。
「小さいけれど十分にあなたを殺すことはできるのよ? さあ、どいてくださる?」
「アハハハハ」
「な、何よ?」
「確かにその銃で人は殺せるでしょうね。但し、弾が入っていればの話ですが」
「な、まさか」
慌てて引き金を引くマリー。カチッと音がしただけで弾は出ない。何度繰り返しても同じことだった。
「こんなこともあろうかと、弾は抜いておきました」
「い、いつ抜いたのよ」
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