発覚していると言える

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どうすれば“発覚する”という状態から、“発覚していた”に変わるまでの瞬間を、そのようなストーリーに乗せられるのか、そのような講義を僕らは受けていた。 「これは間違いなく“発覚している”と言えます」 「この“発覚している”という状態が生まれた最大の要因は“発覚することになる”と言える事象が、ここに存在していたからです」 「この“発覚することになる”という状態を生み出す原動力こそ、“発覚すること”そのものであると、ここでは断定可能な訳です」 「つまり、“発覚すること”が、物語に生まれた瞬間に、“発覚していた”に変わるということは、その物語の内部に“発覚すること”が明らかに存在すると同時に、“発覚した”と言える状況変化が、“状況変化”として存在することにより、その物語は“発覚すること”が“発覚した”と言える物語が、ストーリーの一部として、確定的に生まれたという事実が、間違いなく意味するのです」 「先生、質問があるのですが、ここで言う“発覚すること”は、“発覚する恐れになりうること”と同じ意味ですか?」 「残念ながら、“発覚すること”と“発覚する恐れになりうること”が同じとは限りません。なぜなら、“発覚すること”が、発覚を免れたい誰かにとって困る事とは限らないのと同時に、“発覚すること”が発覚したからと言って、多くの人の利益に適うものとは限りません。“発覚すること”が、単に発覚することに過ぎない場合もあります」 そのような先生の説明を受けて、僕もこう質問してみた。 「“発覚すること”とが、“隠れていた何かが明らかになること”であるなら、“発覚する恐れになりうること”は“発覚させたくない誰かの思惑と警戒心を含む発覚を免れたい事象”であると同時に、発覚を免れたい誰かにとって、“避けなくてはいけない事象”なのではありませんか?そう考えると、“発覚”という概念とは“発覚を免れたい者”と“発覚を必要とする者”との攻防戦の中に存在する“犯罪的事象と思しき事象のようなもの”であると同時に、そのような“形式上の事実そのもの”であると思うのですが、間違っていますか?」 僕がそう質問すると、 先生はこう答えた。 「そりゃそうだよ!」 どうやら僕が気づいた事実は発見でも発覚でもないらしい。
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