覗き見野郎

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その内容とは俺が仕事に行っている間撮ったものだ。他人の日常生活を覗くことは快感だ。神になったような気分でゾクゾクする。相手は俺に全く気付かないものだから、ボサボサの髪に、おおよそ人前に出るには困るような服をしている。そこがまた良いのだ。そんな姿を見ず知らずの俺に『見せて』いるのだから。基本的に早送りだ。相手も常にガラス越しで生活しているわけじゃないから、時には数分で全再生を終えるときもある。今日はわりかし映っている。そんな時は酒がすすむ。 ビデオはベランダに備え付けている。隣のマンション、向かいのマンションなどなど複数台に及ぶ。 酒を飲みながらの盗撮ビデオ鑑賞は堪らない。本当に酒がすすむ。しばらくするとビデオを見終わってしまった。酔った俺はベランダに出た。そして望遠鏡を取り出した。美しい夜景が目当てじゃない。いわんや、夜空も。そう、生盗撮だ。
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