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望遠鏡を片手に晩酌。ウィスキーの苦味が脳を直撃し集中力を高める。舌がヒリヒリする。飲む度にゲホゲホと咳をする。旨いウィスキーは本当にすぅっと入っていくなどと上司は言っていたが、俺は味を楽しむほどの逸品に出会ったことはない。カッコイい男を演じたくて、部屋の飾りものとして買うにすぎないのだ。摘みの生ハムが旨い。ウィスキー飲まなきゃ良かったな……。
高層マンションの住人は何故かオープンだ。狭々しい空間から解放されたいのか、果ては東京の素晴らしい夜景を自分の部屋のインテリアに加えたいのか、真実は本人のみぞ知ると言った感じだが、半分以上はカーテンを開けっ放しだ。覗いて下さいと言わんばかりのその開けっぷりに最初は驚愕したが、これほどまでのパラダイスはそうそうないとエラく興奮したのを覚えている。メガロポリス東京の唯一好きな点だ。
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