デカい窓

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「デカい窓だな………。」 休日を利用して俺は新しい高層マンションの物件を捜していた。 山手線の内側でデカい窓を備えていて、高層マンション、そこそこの夜景を望める………金さえ有れば届かぬ望みではない。この年で独身、さらに結婚の予定もない俺にとって金の使い道に困る。高いスーツも財布もカバンも贅沢と言えるものにそこそこ没頭したが、間もなくみんな飽きてしまった。だが覗きだけは違った。先の読めない展開、バレたら終わってしまうと言うスリル、俺を掴んではなさなかった。だから覗きのための投資なら惜しくなかった。すでに数千万を費やしたと思う。 「さすがお客様!お目が高いですねぇ。お客様なら相応しい物件だと思いますよ。都内にこれだけ立派な窓を備えたマンションはありません。最上階から望む夜景はお客様の心を鷲掴みでしょう。もちろん各種サービスも充実して………」 「決まりだ。宜しく。」 新しい住処の決まりだ。
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