第3章 夜が明けるまで

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東京の街中で一般人に日本地図を差し出して、「和歌山県を指で刺してください」というアンケートの結果、見事に正解したのはほんの10%程であったという、そんな和歌山県が全国に誇れるものは?それを聞かれて速答出来るものはあまりにも少ないだろう。そんなおり、全国野球選手権でその名をほしいままにしている、ここ知弁学園は和歌山県に貢献しているといえるだろう、そして今夜その誇り高き知弁学園はささやかながらではあるが、県民のために貢献することになった、それは野犬の群れに襲われ負傷した少女に数mlのエタノールと数mの包帯を初めとする医療品を提供したことである。  そういうふうにこの学園の経営者が受け取ってくれれば有り難いが、そうでなければ自分たちのやっていることは明らかに建築物違法侵入ならび窃盗罪が適応されるかもしれない、しかしこれは全て緊急避難であって刑事責任は問われないはずだ。  そのようなことを考えている友弘を尻目に理恵は保健室のベッドに腰を掛け自分の傷を手当てしていた、友弘は彼女の手当てもせずそっぽを向いているのは彼女が女性でかったからである。  「あのっ・・・・、岡原さん・・・・その・・・ありがとう。」 背後からの声におもわず80度振り向き掛けた身体をあわてて元に戻し”きおつけ”しながら  「いえいえ、当然のことをしたまでですよ。」友弘は言葉を続けた 「友達と近くのコンビニに買い物に来てみたら、偶然、えっとー・・杉本さんが犬に襲われているところをみかけて・・・。」  背後でカチャカチャと瓶を明ける音を立てながら「・・・で?友達はどうしたの?」   
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