プロローグ

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ほしいものは自分の財力と器量で手につかむことだろう、勉強はいまいちだったが、そのほかのことは平均以上の人間に育て上げたつもりだ。  「大人になった息子と二人で酒を飲む」これこそが俺が親父になった20年前から密かに持っていた夢でもあったがこの連休に友弘が帰ってくると思ってビールの大瓶を2ダースも買い込んでいたのに、あいつは帰った来なかった。  向こうに、彼女でも出来たのだろうか?。お盆休みは帰ってくると言っていたから、その事については、その時に聞けばいい、さぞかしうまい酒が飲めることだろう。  やがて車は渋滞に引っ掛かる、この自動車道の利用者のほとんどが大阪方面から白浜方面への観光客であるため、連休中初日は南行きが終日は北行きが車で溢れかえるのはいつもの事であっる。  いざトロトロ運転になると流石に周りの目が気になる、この歳でオープンカーはやっぱりキツかったかな、岡原は屋根の電動開閉スイッチに手をかけたが、妻に強気を言った手前ここで屋根を閉めれば男が廃る、せめて雨でも降れば・・・。  空を見上げれど雲一つ無い5月の空が広がる。 「・・・!?。」見上げた岡原の視界の上から下へ、つまり車の後ろから前へそれは音もなく飛行機か鳥のように空を飛び越えて行き目で追い掛けようとしたが、岡原の視線は前走するトラックのコンテナに遮られる。     
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