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「写真はね、その人の感性やその人の心を写すものだと私は思うのよ。だから私、人の写真を見るのが好きなの。その人がどんなものに興味を持って、何に感動して、どういう気持ちで撮ったんだろうって想像してみるとちょっと面白かない? この写真は君の心と感性がよく表れていると思うよ」
もはや青は何も答えられなかった。どう反応すればいいのかわからない。でも、嫌ではなかった。彼女の話を聞いていると、不思議と気持ちが落ち着くような気がした。
「君、名前は?」
と脈絡なく彼女は聞いてくる。
「……あ、天野です。天野青っていいます」
しどろもどろに青が返すと、彼女はにっこりと笑った。細めた目はやはりどこか遠くを見つめているようだった。
「私は、木野美姫」と彼女は名乗った。「よければ連絡先、交換しない?」
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