2-4『たしかなもの』

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 中央広場にある木は、比較的見栄えのするものが多い気がした。  さっき見たヤマモミジや、シウリザクラ、イタヤカエデがそうだ。逆に何もない通路にはミズナラやシラカバ、ハクウンボクやカラマツが群生している。どれもこれも葉が落ちているので見分けが難しいが、注意深く観察すると幹の模様や枝が伸びている様子でわかるものがあった。  ある程度周辺の木々の種類を把握すると、二人はちょっとしたゲームを始めた。一人がどれか適当に木を指定して、もう一人がその木の種類を当てるというゲームだ。  思いのほか熱中した。  青は真剣になって微に入り細にわたって木を観察するも、当てることはなかなか難しかった。反対に青が問題を出しても美姫はすらすらと答えるのでなおのこと悔しがり、青はムキになって当てようとした。  その中でやがて、青は一本の木に目を止めた。  ひときわ大きな木で、周囲の木とは違い厳かな雰囲気を放っているのが青にもわかった。いっそ恐ろしいくらいだ。     
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