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特に何をするでもなく、3日は過ぎた。
家事を手伝おうにも、立花や烈花に自分たちの仕事だから、と手伝わせてもらえなかったのだ。
3日の間桃がしていたことと言えば、陽のあたる縁側で九重様に膝枕をしていたことくらいだ。
そして、祝言当日。
「お嫁サマ。祝言の準備をいたしましょう」
「お嫁サマ。きれいにして差し上げます」
「主様も惚れ直すほどきれいに」
立花と烈花の手によって、私はどんどん白無垢の花嫁姿になっていく。
水化粧に紅を塗られ、髪を結い上げられ。
「出来ました、お嫁サマ」
「お嫁サマ、とてもきれい」
二人に手を引かれて、大広間へと案内される。
とても広い部屋なのに、いるのは私と九重様だけ。
三三九度を終え、一通りの儀式が済めば、祝言は終わりだ。
「桃。これを食え」
目の前の料理の中から、九重様が箸で一つ私の目の前に持ってくる。
これは、もしかしなくても「あーん」ですね!
大人しくあーんと口を開けて料理を咀嚼し、飲み込むと、九重様はほっとした顔をした。
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