始まりは祖母の紬から

7/9
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
特に何をするでもなく、3日は過ぎた。 家事を手伝おうにも、立花や烈花に自分たちの仕事だから、と手伝わせてもらえなかったのだ。 3日の間桃がしていたことと言えば、陽のあたる縁側で九重様に膝枕をしていたことくらいだ。 そして、祝言当日。 「お嫁サマ。祝言の準備をいたしましょう」 「お嫁サマ。きれいにして差し上げます」 「主様も惚れ直すほどきれいに」 立花と烈花の手によって、私はどんどん白無垢の花嫁姿になっていく。 水化粧に紅を塗られ、髪を結い上げられ。 「出来ました、お嫁サマ」 「お嫁サマ、とてもきれい」 二人に手を引かれて、大広間へと案内される。 とても広い部屋なのに、いるのは私と九重様だけ。 三三九度を終え、一通りの儀式が済めば、祝言は終わりだ。 「桃。これを食え」 目の前の料理の中から、九重様が箸で一つ私の目の前に持ってくる。 これは、もしかしなくても「あーん」ですね! 大人しくあーんと口を開けて料理を咀嚼し、飲み込むと、九重様はほっとした顔をした。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!