おみやげとおみやげ

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「加賀なのに」 「よく言われる。別府ちゃんこそ実家宮崎なんでしょー?」  言おうとしたプロフィールを向こうから提示され、あんずは内心戸惑った。話したことあったっけ、と思ったが、初対面時の自己紹介で言うに事欠いて言ったような気もする。 「……よく覚えてますね」 「新歓コンパは飲まないようにしてるからね。後々イジりネタになる言動忘れないように」 「性格悪いですね」 「よく言われる」  しれっと答えながら音葉はポストイットにボールペンを走らせ「ひとりいっこ。加賀」とメモ書きを作成し箱の縁にぺたりと貼り付けた。 「ところでさぁ、別府ちゃん」 「はい?」  受け取った包装を解くと、中身は最中であった。口に運ぶと、薄焼き煎餅のような小気味好い硬さの生地がぱきりと割れ、粒あんが舌の上に溢れる。銘菓なのだろうか。美味い。 「美味しいですね、これ」 「でしょ?」  何故か得意げに言う。 「んで、別府ちゃん、食べながら聞いて食べ終わってから答えて欲しいんだけど」 「はぁ」  言われずとももくもくと食べながら先輩の言に耳を傾ける。 「あたし、お兄ちゃんとちょっと年が離れてて、小学生の姪っ子がいるんよ」 「やっぱ叔母さんって呼ばれてるんですか?」 「優しい子だから音葉ねーちゃんって呼んでくれてる。ま、それはいいんだけど、新郎親戚ってことで、兄一家と同じテーブルだったんだよね」 「加賀さんと親御さんとお兄さん一家、みたいな」 「それ。で、お色直し待ちの時だったかなぁ、姪っ子に訊かれたんだよね。『音葉ねーちゃんの時って、七不思議あった?』って」  ペットボトルを口につけ、口に残っていた甘みを水で流してから、あんずは問いを確認で返す。 「七不思議って、学校の?」 「学校の。別府ちゃんの小学校はあった?」 「七つではないですけど、目が光るベートーベンとか、見回りをする歴代校長とか、血が流れるトイレとか、いくつかありました」 「やっぱどこもあんのかね」 「どうなんですかね」
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