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歓楽街を走り抜け、狭い通りを駆け抜け……緑生い茂る公園に着く。
音もなく空から落ちる雨粒は、木々の葉に落ちた時に跳ね、柔らかな音を奏でていた。
――知らなかった……こんな所があるなんて――……。
はあはあと息を切らせ、龍吾に手を引かれる凛花の目に公園の濡れた緑が染み込んでいく。
雨降る早朝の公園は人影もなく、雨垂れの音が凛花を慰めるように優しく包み込んでいた。
2人は小さな東屋に走り込み、ベンチに座った。
静寂が彼等を呑み込む――――
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