11人が本棚に入れています
本棚に追加
「龍吾……」
龍吾は自分の上着を脱ぐと凛花の肩にかける。
優しい瞳が彼女を包み込むように見つめていた。
何も言わない。
何も、聞かない――……。
凛花の手首のアザが、全てを物語っていた。
そっと手を伸ばした龍吾の手が、凛花の頬に触れた。
それだけでピクンと震えて目を瞑る。
トクトクと鳴る胸の鼓動が早くなる。
ゆっくりと、唇を重ねて龍吾は優しく凛花を抱き締めた。
――龍吾……――っ!
凛花も龍吾にしがみつくように抱き締める。
最初のコメントを投稿しよう!