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龍吾はタバコをくわえたまま目を細め、登校前の位林から店の前で渡されたシガレットケースを見た。頬にはまだ絆創膏が残っている。
「うん。龍吾の事、知りたかったみたい。手紙が入ってた。コレ」
龍吾はうつ向き悲しそうな目をする位林の頭を撫でながら小さな紙も一緒に受け取った。
初めて凛花と話すきっかけとなった、朝日にキラキラと輝いたシガレットケースは、凛花の姿を思い出させ龍吾の胸を締め付けた。
小さな紙には『龍吾は?』とだけ書かれていた。あの手紙と同じ、優しい筆跡。
全治二ヶ月以上と言われた龍吾は、医師が目を見張る程驚異の回復力を見せ、一ヶ月で仕事に復帰していた。
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