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位林は緊張した面持ちで、しかし力強く答えた。
「よし、いい子だ」
龍吾は煙草をくわえると位林の頭をクシャッと撫でた。
「あたしは、それだけでいいの?」
つぶらな瞳が心配そうに龍吾を見上げていた。おかっぱ頭が愛らしい。
龍吾はニッと笑った。
「位林にそれ以上の事はさせられない。
後は、俺の仕事」
遅刻するなよ、と龍吾は位林の赤いランドセルの背中を優しく押した。
何度も振り向きながら走り去る位林を見えなくなるまで見送り、建物の壁に寄りかかった。
凛花、絶対に助けてやるからな。命を張ってでも!
†††
「コレ、落としたよ」
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