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位林ちゃん、気づかなかった? 仕方ないか、分からないわよね。
ため息をしかけた時だった。紙を裏返し、書かれていた文字に凛花は息を呑んだ。
『待ってろ!』
荒々しい筆跡だ。龍吾の書く字など見た事はなかったが、凛花には分かった。
手で口を覆う。喉が締め付けられるように痛い。漏れそうな嗚咽を抑えるのに必死だった。
†††
自分は無鉄砲と度胸が売り、というのは龍吾も重々承知していたが、今度ばかりは無計画に正面突破、という訳にはいかない。
龍吾は考える。
正面から突っ込んで自分が殺られて凛花も助けられず、では元も子もない。
「まいどー」
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