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――そうか……アイツ……出られたか……
歩き出した剣崎は兵藤が以前言った言葉を思い返し、ほくそ笑む。
『出所が決まっても連絡はしなくていい、とアイツの手紙に書いておいた』
――アイツ……ちゃんと保の言葉をまもったな。
それでいいんだ……。
龍吾元気でな、と彼は小さく呟き天を仰いだ――――。
†††
青い空が何処までも続く港。
キュー……と鳴くカモメの声がのどかに響く。
白波を立て、岸壁に打ち寄せる波が係留する漁船を揺らしていた。
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