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「凛子ちゃぁん。
それぇ、終わったら夕食支度まで休んでぇ」
民宿の女将が勝手口から凛花に声を掛けた。
「はーい」
広くはない調理場で夕食のおみおつけ用の具材準備に追われていた凛花は包丁片手に明るい声で返事をした。
小さな離島の、老夫婦が切り盛りする民宿。
夏場は観光客もいるが、釣り客がほとんどだ。
秋に差し掛かる今は、めっきり客が減り島全体にのんびりとした時間が流れていた。
「台風のシケで出られんかった本島からの船が来とる。
憲吾ちゃん連れて港行っといで」
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