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オレンジジュースは、好きですか?
いつもの席に、彼女はいた。
ホッとする自分がなんだか、心地いい。
彼女を初めて見かけたのは、先月の事だった。
友人に紹介されたカフェに1人で来た時だった。
何気なくいつものメニューを頼み、窓際の席に座った時。
テーブルを挟んだ隣の席に座っている彼女を見て、一目惚れをした。
もの悲しげな視線は、窓から見える景色よりもっと遠くを見ているようだった。
いつものメニューを頼み、いつもの席に座る。
そして、いつもの光景。
今日も彼女は1人。
店内は他にも何人がいるが、俺達だけはこの世界から切り離されたように、時間の流れを遅く感じる。
謂わば、2人だけの空間。
今日も彼女は、窓の遠くの景色を見ている。
そうだ!
ここに来る前に決意したじゃないか!
今日こそ、彼女に話かけよう!
でも、俺はナンパなんかした事がない!
何を言えばいいんだ?
「ねぇ、ねぇ、彼女。何してんの?」
いや、いや、絶対違う!
まず、俺のキャラじゃない!
もっと他に言葉はあるだろう!
彼女は、俺の存在なんて知らないんだ。
彼女だって、知らない男から突然声をかけられたら困るはずだ。
初対面の人には、自己紹介!!!
まずは、俺の名前と年齢、どこの高校に通ってて、次にどこに住んでて、趣味は~~と話を展開していって、あとは状況みて判断すればいい。
よし、行くか!
「俺・・・」
彼女に声をかけようと立ち上がり、話始めた時、彼女の横から女が「ごめーん、待った?」と入って来た。
チラッと彼女の方を見ると、照れくさそうな表情。
恥ずかしい!!!
今のシーンは恥ずかしい!!!
「オレ」って何、今の!!!
完全に今の俺は爆死でしょ!?
彼女は、友達らしき女と店を出ていった。
参ったなー
いや、参った!!!
次、彼女に会うのは絶対気まずい。
俺がさっき、何か言いかけたのは彼女に聞かれている。
聞かれている上で、あの表情だ!
もう、会えないのか
いや、会いたい
また、彼女に会いたい
だが、時間を置こう。
あまりにも、さっきの精神的ダメージが大き過ぎる。
戦士にも休息が必要って言葉を、俺は知っている。
彼女にまた会う日まで、暫し休息・・・
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