5人が本棚に入れています
本棚に追加
佐川寧々は
死んだ。
私、葉山咲が自殺しようとした時、私を守ろうとして死んだ。
佐川寧々は、みんなに愛されていた。
成績優秀、運動神経抜群、おまけにルックスもよくて、先生達も信頼している、まさに優等生だった。
葬式の日、みんなが口々に言った。
「なんで寧々が死んじゃうの…。」
みんなの心が私には見えるようだった。
(葉山が死ねば良かったのに…。)
(なんで、あんなヤツ守ったの…。)
誰も口には出さない。というか、言えない。
だって、あんなヤツを守ったのは寧々だから。あんなヤツを批判したら、寧々の死は無駄だったということになる。そう、そのうちその事を口に出さないのは暗黙のルールになっていった。
そして、私は学校での立場はもう全くなかった。
私は高校1年生から高校2年生になった。そして、3ヶ月経った頃、彼と出会った。
彼は本堂翔と名乗った。
翔は高校一年生、一応年齢的には私の後輩だ。彼は、寧々の部活の後輩であり、生徒会の後輩でもあったらしい。翔はどのように佐川寧々さんが死んだか教えて欲しいと私に頼んできた。
僕は彼女が好きだったから、 と。
私はあなたが知っていることが真実だよ、と何度も言ったが、翔は納得出来ないような顔をしていた。
私は、翔に何回聞かれても、私は真実を答えようとはしなかった。
約3ヶ月たった頃、翔はこう言った。
「僕は彼女の死について、あなたに責めるつもりはない。だから、教えて欲しい…。
もし君がこれからも彼女の死について、教えてくれるつもりがないとしても、僕はこれからもずっと聞き続けるつもりだから!」
私は翔に話すことにした。初めて、私の口から寧々の死について語った。
最初のコメントを投稿しよう!