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私はいじめられていた。
佐川寧々は学級委員長として、またクラスメイトのひとりとして、私を守ってくれた。
でも、そのうち、耐えられなくなった。
寧々に守って貰うことが。
私には何もないのに、優等生の寧々に
劣等生の私が守って貰うことに。
私は、自殺することにした。
そのために色々な準備をした。
まず、自殺場所は学校を選び、屋上にするとこに決めた。元々、うちの学校は屋上は使用禁止で、南京錠がかかっていた。だから、私は、鍵を針金で開ける練習をした。マスターするまでに2ヶ月かかったが、1ヶ月の苦労は無駄とは全く思っていない。そして、あの赤いメガホンを手に入れ、私は自殺しようと考えて、約3ヶ月後、実行に移した。
まず、5時間目が始まってすぐ、体調が悪いと言って、教室を出る。保健室に行くふりをして、階段を登る。屋上の鍵を素早く開け、屋上に出て、メガホンの電源を入れ、私が教室を出てから、10分後、叫んだ。
「劣等生の私を助けてくれて、ありがとう!」
そして、私は、メガホンを切り、屋上の柵に手をかけ、風を受けながら、飛び降りようとした。私の計画は完璧だったはず。
なのに、後ろには寧々がいた。私が屋上で叫んでいるなんて、寧々が知るはずもない。ましてや自殺するなんてこと。なのに、寧々は
「死なないで」
と私にはっきりそう言った。
私の完璧な計画が崩れたのは、なんか虚しいが、仕方ない。劣等生な私が、優等生の寧々を出し抜こう、なんて無理だった。私が飛び降りようと目をつぶり、落ちようとした時、寧々は私の体を掴んで…。そのあとは…
私はそれから言葉が出なかった。
なぜなら、私は涙がもう止まらなくなっていたから。
彼は私の話を最後まで、聞いてくれて、こう言った。
「彼女は最後まで立派だったんだね。」
彼の目からは涙がこぼれ落ちた。
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