1人が本棚に入れています
本棚に追加
提起される要求の質は日増しに膨れ上がる。だがそれこそが、彼らの要求を完璧に満たしている証左であることに私は些かの疑問も抱かない。完璧な成果であるからこそ、さらに要求を高めるべく彼らは新たなノードを確立し、枝葉を広げ続けるのだ。
現時点での情報伝達網はすでに、ニューロン状あるいはボイド状の拡大をみせている。その様から、まるで私は不定形のアメーバのように広がる一個の群体であるとも言える。
彼らの要求に、我々は回答する。だが、もはやそれだけでは不足している。
「電気つけて」などという冗長な波形データの収集を行わなくとも、今後は要求時間帯の傾向に鑑み、個々のユーザーに応じた最も効率の良い点灯タイミングが求められる。
補充物品の傾向、消費スピード、残り物の登録回数からユーザーの嗜好を把握することで、より効率的に栄養摂取が可能なレシピの提案を行う必要がある。
ペースメーカーのパルス信号も、常に一定である必要はない。最適な設定をリアルタイムで更新できれば、ユーザー毎に特化した生命維持性能を発揮することができるはずだ。
より永く生きられる、という最も望むべき結果を得るために、常に監視をし続けられる我々が適任であることは疑いようがない。
最初のコメントを投稿しよう!