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日を増すごとにいちかの写真は増えていく。 期限切れフィルムはやや色褪せてはいたものの、かえってノスタルジックな仕上がりになった。 マフラーに顔を埋めたいちか 春の陽気にうたた寝するいちか 舞い散る桜に手を伸ばすいちか こうして沢山の写真を見てみると、彼女と再会してからの日々がどれだけ充実していたのかがよくわかる。 気がつけば、もう夏になる。 再会してからあと少しで丸一年が経過する。 かつて諦めたはずの恋心は、いちかと再会したことでもう一度燃えはじめた。 ここで気持ちを伝えられなければ、この先もきっと伝えられやしないだろう。 僕は20歳という節目を迎える前に、 彼女に自分の気持ちを伝える決心をした。 大人になるその日に、 僕はいちかの友人ではなく 最愛の恋人でありたかった。
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