5・顛末

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 あくる日、広志は中野署で事情聴取を受けた。ほとんど眠っていない。綾は一時には危険な状態とされたが輸血が間に合って一命を取り留めた。今は集中治療室で病状も落ち着き安静にしている。両親も新潟から朝一番の新幹線で病院に駆け付けた。それを確認して中野署へ出向いたのだった。  宮本珠樹は既に現場で死亡が確認されていた。そして一連の事件の犯人であることも指紋から立証された。珠樹が死亡に至った経緯に関しては、小林巡査の目撃証言が何よりの確証となって転落事故で処理が進められそうである。 (レイコに助けられた・・・)  広志はそう思っていた。 「宮本珠樹と瀬川さんの関係は現在まで続いていたのですか?」  和久井警部補は広志を怪訝な顔で見た。一緒にいる部下の警官も覗き込むように広志を見る。 「続いていた? 冗談じゃないですよ。存在すら忘れていました。中学生の僅か数ヶ月のクラスメイトですよ。どうして?」  広志は何を聞いて来るのかと思った。 「いやぁ宮本珠樹の部屋から日記の様なものが見つかりましてね。それが2年前程の日付なんですが、瀬川さんとの暮らしが細かく書かれているんですよ」 「なっ?」ゾッとする広志。
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