1・謎の便り

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1・謎の便り

 昨夜も飲み過ぎた。分かってはいるけどついやってしまう。まぁ今日は休みだからいいか・・・。  日曜日の午前中は、こんな感じで潰してしまうことに後悔をする広志(ひろし)。朝食なのか昼食なのか分からない何かを適当に食べ始めるのは大体午後2時辺りだ。それを食べたらシャワーを浴びながら歯磨き。テレビを点けて流していると何となくそれを観てしまい、気が付くと午後4時過ぎ。日照時間も長くなってきた春だからいいものの、これが冬だと日が暮れ始める。空腹ではないけど夕食のことを考え始める。 (外食にするか。そこの食堂はおとといに行ったばかりだよな・・・)  あまり同じ店にばかり出入りすると、店の人間にだらしない男だと思われる様な気がして躊躇してしまう。実際に広志の休日はこんなものなのだから、だらしがないのは事実だ。 (コンビニは昨夜飲み会の帰りにカップ麺を買ったばかりだしな・・・)  周りの同僚や友人は結婚をし始めている。28歳になる広志はそろそろ結婚のことも意識していい年齢だ。しかし広志に結婚願望は無い。  無趣味、無頓着の自分に嫁に来てくれる女性などいるはずがないと最初から諦めていた。家庭を持って一家の生活を養う自信も無い。一人で生活していくには充分な給料だが、これで妻、子供の生活費など捻出できるのだろうかと考えてしまう。今住んでいる安アパートでの生活に満足しているし、結婚をしてここから引越しをする騒ぎも考えると面倒臭くなる。そんな広志には当然のことながら彼女などいない。 (チャリで駅前まで行くか)  このパターンだと駅前のカレー屋コースだ。トッピングの海老フライが美味い。こうして広志の貴重な休日は終わる。
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