朱い宝石の指輪

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その途中、雑草が生い茂った広い空き地があった。 前を通りかかろうとした時、フフフという女性の小さな笑い声が聞こえた。 私とリカちゃんは、お互いに顔を見合わせると周囲を見回した。 「こっちよ」 空き地の奥で、こちらを向いて手招きをしている人影があった。 その人は黒いワンピース姿でつばの広い黒い帽子を被った、長い黒髪の女性のようだった。 上から下まで黒かった。 帽子のせいで、女性の顔はよくわからなかった。 さわさわと風が雑草を揺らし、黒服の女性は私たちをずっと手招いていた。 「こっち、こっちよ。フフフ」 私とリカちゃんは少し躊躇いながらも、声と手招きに誘われて雑草の中を進んでいった。
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