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結婚の招待状まで送った面々は、はじめは慰めの言葉もあったものの、今では上司への不満や仕事への愚痴、産まれたばかりの子どもの自慢、仕事のやりがいなどをつまみに盛り上がっている。
かつてはその中心で一番気炎をあげていた自分が、今では隅でひっそりとしている。
惨めさを感じないといえば嘘だが、余計な気を遣わせたくもなかった。
飲みすぎでほとんどうつらうつらしている友人を前に、ジョッキのお代わりを店員に頼んだ時だった。
「生田先輩」
久しぶりの呼び方に、一瞬大学の時に戻ったような既視感を覚えながら、振り向いた。
あまり会いたくない相手。
彼女の、親友とも言えるほどに仲がよかった相手。
神埼和歌が、焼酎らしきコップを手に立っていた。
胸の中でため息をつきながらも、笑みを浮かべて「久しぶりだね、和歌っち」と言った。
「そんなふうに呼ばれると、なんだか二十歳のころに戻った感じ」
「先輩呼びもそうだけど」
「ですね。隣、いいですか?」
小さく笑った和歌に軽く頷いていざるようにスペースを開けると、和歌はするりと隣に座った。
学生の頃はさばさばした性格で、ファッションもパンツスタイルが多かった印象でも、社会人になってしまった今は、だいぶ女性らしい雰囲気を纏っている。
「まずは、乾杯」
和歌は慣れた風に焼酎のグラスを軽くあげた。
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