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ほどよく明るい店内には、陽気な笑い声で満ちている。
その喧騒を振り払うように、大樹は箸をのばされないまま時間が経ちつつある肴を口にいれた。
大衆酒場的な風を装った店内には、焼鳥と焼き魚の匂いと油に染まった空気が充満している。
炭火焼きにこだわっていると看板には書いていたが、メニューを見ると他にもカルパッチョなどの洋風の肴もあり、コンセプトが少しぶれているのがおかしい。
店のおすすめも気にせずにシーザーサラダと油淋鶏を前にして笑い声を響かせているテーブルでは「懐かしい」「久しぶり」といった言葉ばかり。
後輩も先輩も含め大学のサークル仲間で集まって飲んでいるのだから当然ではあったが、その過去を顧みる言葉のオンパレードが、今の大樹にはひどく憂鬱だった。
断ればよかったのかもしれないが、ドタキャンの理由を勘ぐられるのも嫌だった。
どうせ、誰もが彼女との破局を知っている。
飲みに顔を出さなければ、それこそ大樹の欠席理由はそれになってしまう。
壁際の隅に座り、その喧騒を横にジョッキに口をつけた。
というより、むしろ呷る勢いでぬるく炭酸が抜け始めた生ビールを一気に喉に流し込んだ。
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