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一章 己の力で生き抜け
十六夜の家には珍しくもない家訓がある。
『己の力で生き抜け』
おそらくそのままの意味だろう。
その家訓とは別に祖母から、予言をもらった。
『二十歳の誕生日に、ここではないどこかで生き抜くことになるだろう』
誰でも大人になれば、ここではないところで暮らさなくてはいけない。そんなことを改まって予言した祖母が不思議だった。
(ほんの少しだけ、歳のせいかなと思ったけど)
思っただけで、十六夜は澄ました顔でその予言を有難くもらい受ける。
十六夜が十歳のときだった。
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