不思議な少年

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「会社の飲み会で上司と一緒の3次会はないよねー 数ある危機をかいくぐって、抜けられてよかったわあ」 行きつけの小ぢんまりしたショットバーで カウンターでマスターに『酸っぱいの作って下さい』と頼んだ同期の酒豪、長野萌(ナガノモエ)を横目に見ながら 月島冴子(ツキシマサエコ)は目をトロンとさせ、甘めのカクテルに酔っぱらっていた。 「そー・・・だね・・・」 22歳の新卒で入社して、今年で5年。 2人は同じ営業課所属の、営業事務。 仕事は毎日慌ただしいが、営業マンの補佐、発注や発送の手配、クレームや問い合わせ対応、見積もり依頼などなど遣り甲斐もあった。 上場企業でもあるMMコーポレーションは、入れただけでもありがたい会社だった。 同期のモエはサバサバしていて、『見た目はすごく女っぽいのに性格は男っぽい』とよく言われるサエコには付き合いやすかった。 ふと、サエコはカウンターの反対の端を見た。 ホントに、何の気なしに、ふと見たそこにはーー ーーあーー白い・・・ 全身白い服を着て、髪もシルバーグレー・・・ 少年のような、きれいな男の人が座っていた。 ふと、少年がサエコを見た。目が合う。 ーーあ、笑った・・・? 少年は、サエコを見ながら微笑み、近づいてくる。 肌が瑞々しくて、中性的で、滅茶苦茶色っぽくて、美しい人だった。 ーーハーフ、かな?違う、かな?微妙にわからない・・・あ。こっち来る・・ サエコはゆっくりモエを向くが、モエはマスターと大笑いして盛り上がっていた。 「・・サエコ・・」 ーーえ・・・私の名前・・・? 聞き違いかと少しびっくりして左側に向き直ると、あの少年が隣席に座っていた。 ーーきれいな、子・・・誰だろ・・年齢不詳だ・・・20歳ぐらい、かな? どこかで会ったら、確実に覚えてるような、きれいな・・・男の子
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