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サエコは、この4日目から常務の家に寝泊まりさせられるようになった。
他の社員とサエコがほんの少しでも話すのを常務はとても嫌った。
総務経理の社員たちには、それは暗黙の了解となった。
サエコは常務以外と話すことが実質できなくなった。
常務はとても嫉妬深く、24時間サエコに共に過ごさせた。
出張にも、会合にも連れて行き、同席できない場では、監視させた。
サエコの携帯は取り上げられた。
常務は、少しでもサエコを自由にはしてくれなかったし
毎日何度でも、時間があれば抱いた。
どこにでもキスマークをつけるので、サエコはスカーフと長袖、濃い目のストッキングでの出社を余儀なくされた。
ーーお金持ちでも・・
地位があっても・・
これが愛と言うなら、常務なりに、私を愛してくれていても・・
これは・・・ものすごい、異常な束縛。
でも・・私にはМっ気がある・・・こんな、常務のせいで初めて気づいた・・・
ある時、会社で
サエコが常務の許可を得て仕事中にトイレに立ち、急いで戻る時
ちょうど総務課に来ていたトモキと、たまたますれ違った。
トモキは息を小さく飲む
「・・サエコ・・」
少し痩せて、常務に抱かれ続けて前以上に
艶っぽく色っぽくなったサエコ
随分久しぶりに見たサエコの腕を
トモキは思わずすれ違いざまに掴んでいた。
「・・・!」
サエコは触れられたことに驚いてーー
トモキを見あげた。
『接触するな』ーー常務の命令
こんな場面、見られたらーー・・・嫉妬で
「・・駄目・・っ・・」
小さく言うと、震えるサエコはトモキの腕を振り切り、逃れるように常務室とは反対側の廊下に向かって走る。
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